「安否確認ナビ」は危機管理に関する様々な情報をお届けします。

byinfocom

企業の災害対策本部の役割・組織図・設置基準などを解説

記事イメージ画像:企業の災害対策本部の役割・組織図・設置基準などを解説

災害対策本部は、地震や洪水、火災などの緊急事態が起きたときに、企業全体をまとめて適切な対応や戦略を判断をしていくために必要な組織です。どんな事態でも事業を継続していくには、事前に災害対策本部の設置や運営についてのルールをまとめておくことが求められます。

ここでは災害対策本部の役割や組織図のほか、あらかじめ定めておくべき設置基準や場所、フローについてまとめました。事前に定めた災害対策本部が、現場で有効に機能した事例も紹介するのでぜひ参考にしてください。

企業における災害対策本部の役割とは

災害対策本部は、緊急時に迅速な意思決定と指示・伝達を行い、混乱状況にある現場を取りまとめる役割を担います。適切に情報収集および分析・判断、発信を行うためには、災害対策本部内の連携や緊急時の業務フローの明確化が必要です。

たとえば災害対策本部の責任者をはじめ、メンバー構成やそれぞれの役割、情報の伝達方法など、緊急時に災害対策本部が正常に機能する体制を事前に整えておきましょう。

能登半島地震で災害対策本部が機能した例

災害対策本部の重要性がわかる事例を、中部経済産業局の資料からご紹介します。

映像機器メーカーのA社は、製造を担うグループ会社を石川県内に擁し、一貫生産体制を敷いています。2024年1月に起きた能登半島地震では、発生翌日に災害対策本部を立ち上げ、収集した情報から事業継続への対策を適切に判断しました。

具体的には、被害の大きかった工場の生産設備や部品を別の工場へ移設することで、生産体制を確立。中核事業を停止させない戦略を実行し、取引先や顧客への被害を最小限に抑えました。

災害対策本部の設置・運営における事前準備

緊急時、災害対策本部を円滑に機能させるためには、事前に準備しておくべき項目がいくつかあります。以下で詳しく解説します。

設置基準

まずは“どのような条件で災害対策本部を設置するか”を決めます。以下のように、災害の規模やレベルに応じて設置基準を定めましょう。

  • 震度5以上の地震が発生したとき
  • 大雨特別警報が発表されたとき
  • 早期注意情報にて「高」と発表されたとき

具体的な事象による設置基準だけでなく、災害対策本部長などの意思決定者の判断で立ち上げるルールも必要です。意思決定者は上記の設置基準に該当しない場合でも、収集した情報から自社の事業へ多大な影響が生じると判断した際は、災害対策本部を立ち上げることができます。

設置場所

次に、災害対策本部の設置場所を決めます。定めた設置場所が被災する可能性も考慮し、代替拠点を2~3箇所ほど選んでおきましょう。たとえば本社を第一候補に、別のエリアにある支店を第二候補として考えるなどの方法があります。

設置場所を決める際は、災害対策本部を機能させられるメンバーが参集でき、資機材が揃っている場所を選ぶことが重要です。

メンバー・組織図

円滑に緊急業務対応を遂行するため、災害対策本部のメンバー構成とその役割をあらかじめ明確にしておきます。

全社対策本部を頂点に、各地点の現地対策本部を設置する組織体制を築き上げましょう。現地対策本部は従業員の安否状況や重要業務が受けた被害などの情報をまとめ、全社対策本部へ共有します。全社対策本部は収集した情報をもとに、組織全体の事業継続戦略を定めていくなど、それぞれに役割があります。

災害対策本部の組織図

各チームの主な役割は以下の通りです。

チーム主な役割
事案処理チーム重要業務の復旧・継続に向けた対応を主導する
情報作成チーム被害状況の分析と情報の整理・資源配置の判断を行う
資源管理チーム通信・食料・資機材など必要リソースの確保・管理を担う
庶務財務チーム庶務・人事・財務面での後方支援を行う

運営を効率よく、かつ迅速に行うため、各災害対策本部でそれぞれ責任者を定め、その下に各役割を担ったチームを配置します。責任者や担当者が被災した場合に備え、代行者も決めておくことが重要です。

インフォコムでは、アメリカで開発されたマネジメント手法・インシデント・コマンド・システム(ICS)に則って、上記のような企業の組織体制の構築をサポートしています。ご興味がある方はぜひ下記もご覧ください。

集めるべき情報とその手段

緊急時に混乱しないよう“誰がどのように、どんな情報を集めるべきか”をあらかじめ定めておきます。企業においては従業員の命や安全を守ると同時に、事業継続の視点も重要です。これらを踏まえると、主に以下の情報が必要となります。

  • 従業員やその家族の安否情報
  • 発生した災害の詳細情報や今後のリスク
  • 電気・ガス・水道・交通などのインフラ状況
  • 自社や取引先などの被害状況

また、収集した情報を災害対策本部の責任者へ共有する手段もあらかじめ定めておきましょう。SlackやMicrosoft Teamsなどのチャットツール、安否確認システム、さらに通信回線が遮断された場合に備えた衛星電話や衛星通信サービス「スターリンク」など、複数の手段を組み合わせて準備しておくことが重要です。

設置・運営フロー

災害対策本部を適切に設置・運営するためのあらゆる手順を明確にしておきます。たとえば、災害対策本部のメンバーの参集手順のほか、情報伝達や意思決定フロー、災害対策本部会議の進め方などを事前に決めておきましょう。

災害対策本部の設置手順から設置後の具体的な流れについては、次の章で詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。

自社のBCPにそのまま活用できる「緊急時行動手順書サンプル」
BCPマニュアルの作成・更新にお困りの担当者様必見。発災から24時間の行動フローを可視化した実戦的なテンプレート資料(PDF)をご用意しました。貴社の状況に合わせてカスタマイズできる、実効性の高い手順書作成のヒントとしてご活用ください。

災害対策本部の設置から解散までの流れ

災害対策本部を設置してから解散するまでの流れを詳しくご紹介します。

ただし下記で解説するフローはあくまで一般的なもののため、状況に応じて順番が前後したり、同時並行で実施されたりすることもあります。自社の状況に応じて臨機応変に対応することが重要です。

①情報収集と伝達

情報収集の役割をもつチーム、またはインシデント発生時に現場にいた従業員が災害対策本部の責任者へ事態を報告します。その情報をもとに責任者が災害対策本部の立ち上げを判断します。または、「震度5以上の地震発生時」などの設置基準を満たした場合は即座に災害対策本部を立ち上げます。

企業においてはチャットツールやオンライン会議ツールなどを用い、情報の共有を行うことが一般的です。災害時に通信回線がつながらなくなった場合に備え、衛星電話や衛星通信サービス「スターリンク」などを備えておく企業もあります。

②自社の被害状況確認

災害対策本部をどこに設置するか判断する意味でも、自社の被災状況を早急に確認することが求められます。本社が機能不全に陥った場合は、代替拠点での災害対策本部の設置を判断しましょう。

あわせて、必要に応じて従業員の避難誘導や負傷者への応急処置、初期消火などの初動対応も迅速に行いましょう。

③メンバー参集・災害対策本部設置

全社へ緊急事態の宣言を行います。災害対策本部のメンバーに安否確認を行うとともに設置場所を伝えて、メンバーの参集と災害対策本部の立ち上げを実施します。

メンバーが無事に集まったら、災害対策本部室のレイアウトを整えてください。レイアウトや必要な資機材は事前に定めておくことが基本です。ひとつの会議室で各班がスムーズに連携できるよう、それぞれの班の配置を考えておきます。収集した情報をまとめるホワイトボードや地図、電話機、パソコンなどを準備しておきましょう。

④被害情報の整理・伝達

従業員や建物の被害状況や、インフラや取引先の状況など、収集した情報を整理・分析します。ホワイトボードや地図などを用い、視覚的に現状をまとめ、災害対策本部全体で状況を把握することが重要です。被害状況の整理・分析ができ、情報の可視化および一元化が可能なITツールを活用する企業もあります。

上記の時点で足りない情報があれば、責任者から各チームへ指示・伝達を行い、必要な情報の収集に努めましょう。

災害時の情報収集・共有に課題はありませんか?
「BCPortal」は、リアルタイムの被害状況を迅速に把握し、判断と共有までを一元化、災害時の意思決定をサポートします。初動から復旧までスムーズな対応を可能にします。

⑤災害対策本部会議の実施

情報が集まったら、経営層や各部署の責任者など、意思決定に必要な人員を収集し、災害対策本部を開催します。災害対策本部会議は緊急事態を乗り越えるための戦略を立てたり、役割や対応方針を決定したりする会議です。事前に災害対策本部会議へ参加するメンバーや議論する内容、進行手順を定めておくことで、効率的かつ精度の高い議事へとつなげられます。

また、時間経過によって災害の状況や対応も変わってくるため、災害対策本部会議では適切な分析や判断力が求められます。緊急時を想定した意思決定訓練を定期的に行い、判断力を鍛えることも重要です。

⑥広報対応

災害対策本部会議で定めた方針に従い、広報班が外部へ情報発信を行います。広報の役割はステークホルダーに対して安心感を与えるような信頼できるコミュニケーションを行い、その後の事業継続における協力関係を築くことです。状況に応じて、自社の状況を伝えるプレスリリースの発信や報道対応などを行いましょう。

⑦災害対策本部解散

責任者が危機的状況を脱したと判断した場合、災害対策本部は役目を終え、解散となります。

万が一に備えて企業は災害対策本部の準備を

緊急時に現場を取りまとめる役割を担う災害対策本部。万が一の際に機能するよう、事前準備を整えたら、災害対策本部を対象とした訓練を定期的に実施することが非常に重要です。災害対策本部の参集・立ち上げ訓練や、情報収集・伝達訓練、意思決定訓練など、場面を切り取った訓練を実施し、計画の実効性を確認しましょう。訓練後は必ず、見直し・改善を図り、より実効性を高めていってください。

災害対策本部のメンバー参集には、安否確認システムが役に立ちます。インフォコムでは、東日本大震災の際も安定的に稼働した実績をもつ安否確認システム「エマージェンシーコール」を提供しています。ぜひ災害対策本部の強化にお役立てください。

災害時、従業員の安否確認は万全ですか?
「エマージェンシーコール」は災害時の安否確認を自動化。多彩な連絡手段で高回答率を実現し、初動対応を支援します。

著者イメージ
この記事を書いた人
「安否確認Navi」編集部
阪神淡路大震災をきっかけに開発した緊急連絡/安否確認システム「エマージェンシーコール」の販売を通じ、お客様の危機管理に関する様々な課題をヒアリング。その豊富な知識とノウハウをコンサルティングやコラムに展開。
この記事の監修者
徳山 英治Tokuyama Eiji
危機管理コンサルタント
BCAO認定 事業継続主任管理士/防災士/企業危機管理士/個人情報保護士
大手医薬品卸売企業向けシステムをはじめ、約20年にわたりITプロジェクトのマネジメントを経験。東日本大震災を契機に「ICTを活用した新しい危機管理」の必要性を感じ、危機管理コンサルタントへ転身。企業のBCP策定から訓練の実施・社内研修・講演まで幅広く支援しており、これまで数百社の危機管理体制の構築に携わる。共著に『はじめての企業防災BCP入門』。

関連記事

ページトップへ