12/02
BCPで平常時に準備すべき5つのポイント
ようやく、BCPの必要性が浸透してきたように思います。まだまだ、BCPは西高東低のようで、関東の方がBCPを策定された会社は多いように思いますが、関西もかなりの会社がBCPの必要性を感じられているようです。南海トラフ巨大地震や首都直下型地震が指摘され、他にも大型台風の上陸や集中豪雨などの水害、新型感染症など企業を脅かすリスクが多様化しています。東日本大震災では事業の復旧の遅れが企業の存続に関わることを実感した企業も多いはずです。この夏に京都を襲った台風で、嵐山の川が氾濫し、通勤の足にも大きなダメージを与えました。BCPを準備すべき5つのポイントを考えてみました。
BCPで平常時に準備すべき5つのポイント
1.重要業務を特定する
災害後に活用できる経営資源(人、もの、施設、情報など)が限られることを認識し、経営上最優先で取り組むべき重要業務を決めておくこと。
ちなみに私の会社では、会社全体に関わる問題と各事業部に関わる問題を別々に分けて設定しました。
会社全体に関わる問題:A.社員間のコミュニケーション手段 B.社外への情報発信機能 C.入出金業務
各事業部に関わる問題:A.社会的責任のあるサービスの維持 B.キャッシュフローへの影響が大きい事業
というように決めました。
各事業部長へのヒアリングだと、なかなか絞りこめないので、あらかじめ社長などの責任者と大きな枠として決めておいた方が早いと感じました。
2.目標復旧時間を決める
いつまでに重要業務を復旧すれば顧客との取引を継続できるか、自社の財務が破綻しないのかなどの視点で設定すること。目標復旧時間で費用が大きく変わってきます。たとえば2拠点でのラインを作るのであれば、目標復旧時間は早くできますが、高額となります。そのため、同業者と提携するなど、費用を抑える方法を考える必要があります。コンピュータのサーバなどは、データを遠方に置く形からクラウドの2拠点同時稼働まで段階があります。クラウドサービスだと費用を抑えたものもありますので、よく検討して見て下さい。ただし、やすかろう悪かろうでセキュリティーが甘いシステムもありますので、十分な注意が必要です。
3.取引先とあらかじめ協議しておく
いつまでにどこまでの商品・サービスを提供できるかについて取引先と共通認識を持つこと。通常の連絡手段が使えないことも想定しておき、連絡方法も決めておくこと。お互いに衛星電話を設置するのも良いでしょうし、PHSなども比較的繋がりやすいとも言われています。SNSなど複数の手段を考えておきましょう。アマチュア無線なども有効ですが、免許が必要です。
4.事前対策や代替策を用意しておくこと
重要業務の継続になくてはならない経営資源について、災害時にでも利用できるように対策をしたり、代替策を用意すること。銀行は比較的BCPを早くから導入しており、早期の立ち上がりが期待できますが、現金がすぐに手元に来るかは疑問です。事業の内容によっては、現金も多少はあると便利かもしれません。
5.従業員とBCPの方針や内容について共通認識を持つこと
緊急時に経営陣はどう行動するか、従業員にどう行動して欲しいか、事前に話し合い決めておくこと。
ちなみに私の会社では緊急時にはすべて、エマージェンシーコールというシステムに登録することになっています。緊急の情報収集の妨げになるため、会社に確認の連絡を入れることはNGとなっています。
まとめ
2011年11月に内閣府が実施した調査によれば、BCPの策定率は大企業で約46%、約21%という結果でした。2009年の調査結果と比較すると増加しているとは言え、まだまだ低い数字です。今後も大災害を含め、様々なリスクが予測されていますので、企業のBCPの策定は重要性を増してきます。今回提案したポイントに考慮して策定を進めてみてはいかがでしょうか。
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