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サプライチェーンリスクとは?具体例で対策をわかりやすく解説

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サプライチェーンの正常な活動を妨げるインシデントは、自然災害や景気変動、パンデミック、テロ、サイバー攻撃など、多岐に渡ります。いかなる事態でも事業を継続するためには、サプライチェーンリスクを低減するための取り組みや体制の整備が必要です。

ここでは、サプライチェーンリスクの発生要因や被害事例などを紹介しながら、具体的な対策を解説します。サプライチェーンリスクマネジメントを強化する方法も解説するので、ぜひ注目してください。

サプライチェーンリスクとは?

サプライチェーンリスクとは、原料の調達から製造、流通、販売までのサプライチェーンの流れの中で何らかのインシデントが発生し、事業が停止したり滞ったりするリスクのことです。

具体例

サプライチェーンを脅かすリスクは、自然災害やパンデミック、テロやサイバー攻撃、原材料の高騰など多岐に渡ります。

  • 主要の仕入先の工場が被災し、操業を停止したために部品の供給が止まる
  • 感染症の拡大を防ぐため、海外工場のロックダウンや国境封鎖が起き、物流の停滞が生じる
  • 世界情勢の悪化により、原油・原材料の高騰、供給不安が起き、製品の生産に支障が生じる
  • システム障害やサイバー攻撃により、受発注や在庫管理が停止・機能不全に陥る

とりわけ近年、注目を浴びているのがセキュリティ上のリスクです。独立行政法人 情報処理推進機構(以下、IPA)が公表する「情報セキュリティ10大脅威 2026」でも、サプライチェーンを狙うサイバー攻撃がランクインし、年々危険性が高まっています。企業にはそのリスクを正しく理解し、対策を練ることが求められます。

サプライチェーンリスクの発生要因・分類

自然災害やサイバー攻撃、景気変動、テロなど、サプライチェーンリスクが発生する要因を4つの分類に分けて、それぞれ解説します。

環境的リスク

サプライチェーンの正常な活動を妨げる要因のひとつは、自然災害や気候変動、パンデミックなどの環境的リスクです。地震での被害や、新型コロナウイルスの蔓延などで、実際にサプライチェーンが滞ったり、または停止したりする事態が過去に起きています。特に日本は地震大国でもあるため、地震に備えた強靭なサプライチェーンを構築する取り組みが欠かせません。

また、異常気象で原料となる作物が育たない、集中豪雨の影響で物流がストップするなど、気候変動によるリスクにも注意が必要です。

地政学的リスク

テロや紛争、政治的不安などの地政学的要因によるリスクもあります。たとえば近年の事例では、中東情勢の緊迫化や、米中貿易摩擦の激化により、原材料の供給遅延や調達ストップ、価格高騰などが起き、サプライチェーンに大きな影響が生じました。このような事態から脱却するため、原材料の調達先の変更や生産拠点の移転などへ踏み切る企業も大変多くあります。

上記の事例からも、地政学的リスクによる影響を最小限に抑え、いかなる事態でもサプライチェーンを継続させるには、調達先や拠点の分散など、事前の準備が重要なことがわかります。

経済的リスク

為替変動や原価高騰、景気後退などの経済を取り巻く環境の変化により、サプライチェーンに影響が及ぶことがあります。

実際に2022年から急速に侵攻した円安によって、原材料などを輸入している企業は大きなダメージを受けました。原材料やエネルギーのコスト高騰が起きたためです。価格転嫁の実施が困難な状況にある中小企業は、こうしたコスト高の影響を大きく受け、経営が圧迫されるケースが多くあります。

技術的要因

サイバー攻撃やシステム障害などの技術的要因によるサプライチェーンリスクにも注意が必要です。近年、これらのセキュリティ上のリスクは注目度が高まっています。

特にサイバー攻撃は、セキュリティの脆弱性を攻撃されるケースが非常に多い傾向にあります。自社でセキュリティ対策を講じていても、サプライヤーの対策が十分でなければ、その脆弱性が悪用され、巻き込まれるケースが大いにあるため、サプライチェーン全体での対策が必要です。

サプライチェーンが攻撃されるパターンは以下の3つに大別されます。

ビジネスサプライチェーン・リスクサプライヤーで起こるセキュリティインシデント。たとえば、サプライヤーの管理不備を狙ったサイバー攻撃の場合、サプライヤーが扱うシステムなどから侵入し、狙う企業のネットワークへ不正アクセスするなどの被害事例がある。
サービスサプライチェーン・リスク導入するサービスやシステムなどの提供元でセキュリティインシデントが起こるケース。利用するクラウドサービスやマネージドサービスなどがサイバー攻撃の対象となり、自社システムへ不正アクセスされるケースも。また、サービスやシステムがシステム障害などで停止した場合、業務遅延が発生し、サプライチェーンへ大きな影響を与える。
機器・ソフトウェアサプライチェーン・リスク機器やソフトウェアそのものに不正コードなどが仕掛けられることで、サイバー攻撃や不正アクセスを受けたり、業務が停止したりするリスクのこと。結果的に広範囲または無差別に被害が及ぶ場合があるのが特徴。

サプライチェーンリスクの被害事例

実際にサプライチェーンが危険にさらされた代表的な事例を3つ紹介します。

事例①グループ会社へのランサムウェア攻撃で情報漏洩

2024年6月、大手総合エンターテインメント企業A社がランサムウェア攻撃を受けたと報道され、大きな話題となりました。データセンター内のサーバーなどへサイバー攻撃が仕掛けられたことにより、事業の停止や機密情報の漏洩などの大きな被害に発展しています。

A社から依頼を受けた大手セキュリティ専門企業の調査によると、フィッシング攻撃により一部の従業員のアカウント情報が盗まれたことが発端になったと考えられています。

事例②利用するメールサービスから不正アクセス

2025年12月、電気通信事業者であるB社が提供する法人向けメールサービスに不正アクセスが確認され、同サービスを利用する各社で顧客情報が漏洩するなどの被害がありました。漏洩した情報は、メールアドレスやメーリングリスト名などです。

調査の結果、メールサービスを構成する複数のサーバー機器でセキュリティの脆弱性が悪用されたことが判明しました。被害判明から約1カ月後にはサーバー機器の提供ベンダーが修正済みソフトウエアを公開し、復旧作業が進められました。

事例③地震の影響で350の工場が稼働停止

2011年3月11日に発生した東日本大震災では、東北地方や関東地方に拠点を置く工場が被災し、関連するサプライチェーンに影響が及びました。実際に情報通信機器B社は、サプライヤーである協力企業の35の工場が被害を受け、ほぼすべての製品の製造を一時中断する事態へと発展しました。

同社をこの事態を受け、サプライヤーを巻き込んだBCPの策定を進めており、サプライチェーンの強化を目指しています。さらに直接取引のない二次・三次サプライヤーに関しても、協力企業を通じて生産体制の把握や見直しを進めたとのことです。

サプライチェーンリスクマネジメント(SCRM)が重要

サプライチェーンを取り巻く脅威は、複雑かつ多様化しています。問題の発生を防ぎ、リスクに迅速に対応するには、常日頃からのサプライチェーンリスクマネジメント(SCRM)が重要です。

サプライチェーンを脅かすリスクやボトルネックとなる経営資源を評価・分析し、事前の対策を実行することで、自然災害やパンデミック、サイバー攻撃などあらゆる脅威からサプライチェーンを守ることにつながります。

その際、自社への対策にとどまらず、サプライヤーを巻き込んだサプライヤーチェーン全体でのセキュリティ体制の構築や防止策の実行が鍵になります。

サプライチェーンリスクマネジメントを強化する方法

あらゆるインシデントからサプライチェーンを守るための対策や方法を詳しく解説します。

サプライチェーンリスクの分析

まずはリスクの分析が必要です。自然災害やサイバー攻撃が起きたときに、経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)にどのような影響が及ぶかを具体的にシナリオとして想定し、分析しましょう。サプライチェーンの中でボトルネックとなる部分を洗い出すことで、脆弱性の可視化につながります。

サプライチェーンのセキュリティ対策推進のため、経済産業省では「サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度」を準備しています。こちらもぜひ注目してください。

BCP・対応フローの整備

サプライチェーンリスクに備え、事前にBCPの策定を行いましょう。BCPはインシデントが発生したときに、事業継続における企業の方針をまとめた計画です。トラブル発生時の対応フローや代替調達における戦略、情報収集方法などを定めておくことで、被害を最小限に抑えることにつながります。特にサプライチェーンリスクマネジメントを強化するには、サプライチェーン全体でのBCPの策定が重要です。

インフォコムでは、BCP策定を支援するコンサルティングや、緊急時の情報収集を一元化するシステム「BCPortal」などのサービスを提供しています。

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サプライヤーとの連携強化

いかなる事態でもサプライチェーンを守るには、サプライヤーとの連携強化が非常に重要です。各サプライヤーでのBCP策定はもちろんのこと、情報共有の仕組みづくりや、事業が中断した場合の代替調達先に関する決まり事など、事前の準備を行い、協力体制を築き上げます。

セキュリティインシデント対策としては、サプライヤーとセキュリティ要件に関する契約を締結することが必要です。IPAの調査では、IT業務委託の契約時にセキュリティ責任の範囲が定められていない企業が多いことがわかっています。万が一の事態に対応するためにも、インシデント発生時の対応や責任範囲を明確にしておくことが重要です。

定期的な見直し・訓練

策定したBCPの実効性を高めるには、定期的な計画の見直しや改善活動が必要です。さらにBCPをもとにした訓練を実施し、課題をその都度改善していくことで、より緊急時に機能するBCPへと育て上げられます。

訓練は、災害対策本部の参集訓練や情報伝達訓練、意思決定訓練など場面を切り取った形で実施し、年1回以上を目安に定期的に行うことが推奨されます。サプライヤーを巻き込んだ総合訓練も効果的です。訓練後は必ず結果を振り返り、BCPの見直し・改善につなげましょう。

セキュリティ教育を実施

内部の人間による不正や人的ミスを防ぐために、セキュリティ対策に関する教育を実施することも必要です。サプライチェーンリスクや新たな脅威、サイバーセキュリティのトレンドなどについて教育を行いましょう。

アクセス権限のほか、ダウンロードやコピーできるデータ容量を限定するなど、不正を防ぐ仕組み作りも重要です。

早急にサプライチェーンリスクへの対応力強化を!

サプライチェーンへ被害が生じると、情報漏洩や事業の停止、社会的な混乱が生じるなどさまざまな影響があります。これらの影響により、顧客や取引先から信用を失う可能性もあるため、十分な注意と対策が必要です。

早急にサプライチェーンリスクマネジメントを構築し、緊急時に被害を最小限に抑え、事業を継続できる体制を整えていきましょう。

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著者イメージ
この記事を書いた人
「安否確認Navi」編集部
阪神淡路大震災をきっかけに開発した緊急連絡/安否確認システム「エマージェンシーコール」の販売を通じ、お客様の危機管理に関する様々な課題をヒアリング。その豊富な知識とノウハウをコンサルティングやコラムに展開。
この記事の監修者
徳山 英治Tokuyama Eiji
危機管理コンサルタント
BCAO認定 事業継続主任管理士/防災士/企業危機管理士/個人情報保護士
大手医薬品卸売企業向けシステムをはじめ、約20年にわたりITプロジェクトのマネジメントを経験。東日本大震災を契機に「ICTを活用した新しい危機管理」の必要性を感じ、危機管理コンサルタントへ転身。企業のBCP策定から訓練の実施・社内研修・講演まで幅広く支援しており、これまで数百社の危機管理体制の構築に携わる。共著に『はじめての企業防災BCP入門』。

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