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2014
05/08

災害拠点病院における4つのBCPの役割とは?

ともみさん(長女)の記事

大規模震災など、広域災害が発生した時の、災害拠点病院では、一般の企業に比べられない様々な対応に迫られます。事前準備として、どのようなBCPを考えれば良いのでしょうか?過去の事例を振り返って考えてみましょう? 

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阪神大震災における被害(出展:阪神・淡路大震災による病院被災に関する調査研究報告書)

日 時:1995 年1 月17 日午前5 時46 分
震 源:淡路島北部 マグニチュード:7.3    最大震度:震度7(神戸市など)
死 者 数: 6,434 人 負傷者数:43,792 人
病院建物の倒壊
兵庫県内の342 病院のうち、13 病院が全半壊焼失しました、診療所を合わせると、2,926 のうち、全壊239、半壊270、全半焼13、インフラの停止による診療停止973 となり、約半数が機能を停止しました。

ライフラインの途絶
全ての病院で電力会社からの電力供給が停止し、自家発電機へ切り替えたましたが、燃料不足や発電機の焼け付きにより一部の病院において診療を継続できませんでした。しかし、地震当日の午前中には復電しました。上下水供給設備は、供給元だけでなく病院内の受水槽や配管が破損したケースが多く、復旧までに約1 か月を要しました。ガス設備についても上下水と同様に供給元だけでなく病院内の設備の破損により、復旧までに約1 か月を要しました。

負傷者の搬送
神戸市内の災害医療機関3か所のうち、西市民病院本館が全壊し、中央市民病院が孤立し機能を失ったため、県立西宮病院(400 床)438 人、明和病院(349 床)658 人、笹生病院(149 床)1,029 人、西宮渡辺病院(192 床)1,200 人など、負傷者であふれかえりました。一方、兵庫医科大学病院(991 床)では救命救急センターの22 人を含む274 人の医師が待機しましたが、患者は平日外来患者数の8%にあたる約200 人でした。

東日本大震災における被害(出展:厚生労働省)
日 時:2011 年3 月11 日午後2 時46 分
震 源:三陸沖  マグニチュード:9.0  最大震度:震度7(宮城県栗原市など)
死 者 数:15,848 人(2012 年2 月現在)  負傷者数: 6,011 人
病院建物の倒壊
岩手・宮城・福島3県の380 病院のうち、11 病院が全壊し、289 病院が一部損壊しました。また、45 病院で外来の受入不可、84 病院で入院患者の受入不可でした。診療所では、3,972 か所のうち、全壊81 か所、一部損壊402 か所となりました。

ライフラインの途絶
石巻赤十字病院(402 床)においては、停電が2日間、断水が5日間、ガスの供給停止が30 日間続きました。

負傷者の搬送
石巻赤十字病院においては、最大で通常の外来患者数の20 倍にあたる1,251 人の被災患者が搬送され、一般診療は3月末まで休診し、救急対応のみとしました。発災から3週間程度たった3月下旬でも通常の5倍にあたる300 人程の患者が搬送されました。

企業などが策定する一般的なBCPであれば、一定程度の事業能力が回復するまでの間、事業を停止することが許容されますが、災害時に特に大きな役割を担う災害拠点病院にあっては、平常時とは比べものにならない傷病者が来院することが想定されます。そのため、医療サービスを停止することは許されません。平常時の院内体制を確保できなくても、一定程度の医療サービスを継続できるように、より高いレベルでのBCPを策定することが求められています。

災害拠点病院におけるBCPの役割は、以下の4点が挙げられます。(出典:東京都福祉保健局資料)
(1) 事前の備えによる対応力の低下を抑制
建物の耐震化などに加え、非常時の組織体制を事前に計画することにより、地震発生時の対応力の低下を抑制できます。
(2) 対応力の早期回復
災害時に必要な業務に優先順位をつけておくことにより、対応力の回復時期を早めることができます。
(3) 対応力の増加
継続すべき業務と縮小できる業務をあらかじめ区別することにより、対応力を一定レベルまで増加させることができます。
(4) 災害拠点病院への患者数の抑制
BCPにおいて、近隣医療機関と連携した役割分担(重症度に応じた患者の受入れ)を事前に決めておくことで、災害拠点病院における患者数を抑えることができます。(出典:東京都福祉保健局資料)

次回は、トリアージについて、考えてみましょう。

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