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地震の発生によって、火災や津波などの災害が引き起こされてライフラインの断絶を招くことがあります。そのため、企業にも大きな影響を与える可能性があるといえます。そんな地震の被害を抑えるために必要となるのが災害対策です。
しかし、地震による災害に備えたくてもどのような対策を実施すれば良いのか悩んでしまう場合もあるでしょう。そこで今回は、地震による被害の種類、オフィスで行える地震対策、地震災害への対策、地震発生後の対応をみていきます。
地震による被害は2種類
地震災害は大きく一次災害と二次災害に分けられます。それぞれを詳しくみていきましょう。
一次災害は建物の倒壊や土砂崩れといった直接的な地震被害などを指し、二次災害は一次災害をきっかけとして連鎖的に起きる災害を指します。二次災害の主な事例は次のとおりです。
・津波
・火災
・液状化現象
・ライフラインの断絶
大規模な地震が発生したあとは、二次災害が起きる可能性に備えましょう。津波の心配がある場合は、急いで避難する必要があります。避難場所については、普段から検討・確認しておくことが大切です。
ライフラインの断絶には、日頃より水や食料、ラジオ・充電器などを備蓄品として準備しておくことで対策できます。
オフィスで行える地震対策
ここからは、オフィスにおける地震対策についてみていきましょう。
家具や機器のレイアウトの工夫
オフィスにも多数の移動式の備品や機器があります。オフィスを作る・借りる際は、機能性だけでなく、地震の発生に備えて安全性を考慮したレイアウトにしましょう。既にオフィス家具や機器が配置されている場合、地震のときにどうなるかシミュレーションを行うことも大切です。
オフィスの地震対策として事前に行える主な対策は次のようなものになります。
・上下二段式什器の連結
・重い収納物は下に入れる
・ボルトを利用し什器を固定
・ガラスに飛散防止フィルムを付ける
・扉や引き出しはセーフティロック付きのものにする
コストがある程度かかるものの、安全対策には必要な内容だといえるでしょう。
避難経路の確保
火災などが発生した際に、避難経路が確保されていない場合、逃げ遅れるリスクが発生します。非常階段などの避難経路には、普段から物を置かないことが大切です。
また、オフィス什器や機器の配置場所にも注意が必要です。地震時に大きな什器や機器が転倒し、避難経路を塞ぐこともあるため、避難時の動線を検討しつつ配置しましょう。
通電火災に対する対策
地震で停電が発生し復旧した場合、再通電時に出火する「通電火災」も二次災害の1つです。停電中は電化製品のスイッチを切り電源プラグを抜いておく、避難するときはブレーカーを落とす、といった行動が通電火災の予防になります。
防止する場合は、感震ブレーカーの導入を検討しても良いでしょう。感震ブレーカーは、一定以上の地震を感知すると主幹ブレーカーを強制的に遮断し電源をストップします。避難時にブレーカーを切り忘れても、自動で切れる点は魅力です。ただし、ブレーカーが切れると、真っ暗になり逃げられなくなる可能性があるので、非常灯は消えないようにしておく必要があります。
地震災害に対する対策
地震災害に対して企業が行える対策は色々とあります。ここからは、企業が取るべき防災対策についてみていきましょう。
BCPや防災マニュアルの策定
BCP・防災マニュアルを策定していない場合、早めの策定が必要です。多くの場合、緊急時には冷静な判断ができなくなるため、内容を把握しておくことでスムーズに動けるようになります。あらかじめBCPや防災マニュアルを準備することで、迷わずに適切な行動を取ることが可能です。
一方で策定していない場合は、災害時の対応が遅れるだけでなく被害が拡大するリスクもあります。
BCP(事業継続計画)とは、自然災害をはじめテロやシステム障害など企業が危機的な状況に陥ったときに、重要な業務を継続できる方法を準備しておくことで事業を継続するための施策です。防災マニュアルとは、災害時の行動指針や役割分担について定めておくものです。
それぞれの違いを理解した上で、目的に沿ったものを作成しましょう。
定期的な防災訓練の実施
防災マニュアルやBCPは作成しただけでは活用できません。非常時に活用するためには、事前に従業員に内容を周知しておく必要があります。
また、マニュアルの中身を見直すことでより良いものに変えていかなければなりません。そのため、定期的な防災訓練を実施し、そのたびに訂正・改善することでより実践的なものになるでしょう。
防災グッズの準備
防災グッズを準備しておくことで、大災害で帰宅困難になった場合でも、社員が安全に避難生活を送ることができます。水や食料は最低3日分、その他毛布や簡易トイレなど、自社の状況に合わせて必要なものを揃えておきましょう。
また、従業員個人にもスニーカーなど非常時に役立つものを準備しておくよう促すことで、防災意識向上につながります。
ハザードマップの確認
ハザードマップとは自然災害が起きたときに、過去のデータなどからどの程度の被害を受けるか予測し、地図上に示したものです。水害時の安全な場所や地震が起きたときに地盤が強いところなど、あらかじめ知っておくことで避難場所の目安とすることが可能です。
一次災害だけでなく二次災害に備えるためにも役立ちます。ただし、ハザードマップで安心とされている場所でも、状況によっては被災する可能性がある点は把握しておきましょう。
地震発生後の対応
ここからは、地震発生後の対応について解説します。防災マニュアルやBCPを地震発生後にどう活用するのか、みていきましょう。
人命救助
災害発生後の最優先事項は人命の安全です。救助・救援は熟練を要し、困難な事もおおくなりますので、まずは、怪我しない、死なないという事が大事です。災害直後は会社から的確な指示を伝えることが困難なこともあるでしょう。社員一人ひとりに、状況に即応した自分の身を守る自律的な行動が求められます。
ただし、突然の災害でどのような行動を取れば良いかわからないこともあるでしょう。その場合に役立つのが、これまでに積み重ねた防災訓練や作成した防災マニュアルとなります。そのため、防災マニュアルにはシェイクアウトなど身を守る行動に対する内容も明確に記載しておくことが大切です。
安否確認や社内外の被害状況などの情報収集
災害発生後は、社員やその家族の安否確認、社内外の被害状況などの情報収集が必要です。防災マニュアルに記載した緊急連絡網などを活用し、安否確認・被害状況などの情報収集を行いましょう。
なお、安否確認システムを事前に導入しておくと非常時に役立ちます。
社員召集や帰宅指示
災害が起きた際は、社員招集や帰宅指示などが必要となります。こういった対応に関しても防災マニュアルで、あらかじめ招集方法や帰宅計画を決めておき、指針に基づいた行動を取ることが重要です。
優先する業務の決定
災害発生後は同様に業務を実施するのが困難となることもあります。そのときに役立つのが事前に策定したBCPです。
BCPでは、非常時に優先する業務を決定しておきましょう。事業拠点や生産施設・仕入れ品調達に関しても代替案を事前に決めておけば、すぐに業務再開に取り掛かることが可能です。
まとめ
地震による被害を最小限に留めるためには、事前準備が欠かせません。オフィス内の什器や機器の設置方法を見直すとともに、BCP・防災マニュアルの作成が必要です。
また、BCPやマニュアルを震災後速やかに活用・実践するためには、従業員への周知徹底や定期的な見直し、防災訓練が重要です。
防災訓練を行うことで、従業員の防災意識も高まります。できるところから取り入れ、災害に備えましょう。