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安否の意味とは「無事・安全であるか」です。つまり安否確認とは、相手が無事でいるかを確認する作業を指します。企業がなぜ安否確認をするのか、重要性がわからない人もいるでしょう。しかし安否確認は、従業員の安全や事業継続を考えるうえで大切な要素です。
本記事では、企業が安否確認をする意味と、利用できるツールについても解説していきます。電話・メール・SNS・安否確認システムそれぞれの特徴について比較していくため、参考にしてみましょう。
安否の意味とは
安否とは「無事であるか」という意味です。安否確認とは災害時などの非常事態に家族・社員・高齢者といった周囲の人々が無事でいるか、安全な場所にいるかどうか連絡を取り合うことを意味します。また、企業においては社員だけでなく、その家族の安否も知り、さらに出社は可能であるかまで把握しなくてはなりません。
企業が安否確認をする意味
企業が安否確認をする理由を知っていきましょう。また、平常時からいざという時のプランを考えておくことでスムーズに事業を再開でき、顧客や市場関係者へアピールできます。
なぜ安否確認をするのか
企業が安否確認をする理由は、今後の事業継続のための要員確保を行うためです。
事業継続のためには、社員が無事であるかだけでなくその家族の無事も大切だといえます。家族がケガをしている・行方がわからない場合などという状況では、社員は出社して仕事を続けることは困難でしょう。
社員本人や家族が無事でも、会社まで行くための交通手段がないというケースも考えられます。企業が安否確認を行う際は、社員の身体の無事だけでなく、その周辺状況にも目を配らなくてはなりません。安否確認によって情報を多く集めることで、会社としての機能を復旧させられるタイミングをスムーズに把握できるでしょう。
BCP対策とは
BCPとは「Business Continuity Plan」の略称です。日本語では事業継続計画といい、会社として事業を続けていくための計画を指します。事業を中断させないことを目的としつつ、仮に中断してしまった場合に何を優先して取り組むかなど、緊急時の動き方をまとめて対策することが大切です。
災害が発生して事業が中断した場合、病院や介護施設などの場合は人の命に関わる可能性があります。災害時に人命を優先できるようBCPを策定しておけば、利用者やその家族も安心できるでしょう。
また、BCPを策定しておくとスムーズな事業継続に繋がるため、顧客の信頼を掴んだり市場関係者から高い評価を得られたりすることにも繋がります。平常時からBCPに取り組み、訓練や研修を行いましょう。
安否確認に利用できるツール
安否確認をしたい際に利用できる身近なツールがあります。いざという時に使いやすく、いずれも無料で使えるものです。それぞれのツールの特徴とメリット・デメリットを知っていきましょう。
電話
固定電話や携帯電話は、メールやスマホアプリが苦手な人であっても利用しやすいツールです。緊急時であっても連絡手段として使いやすいでしょう。
しかし、電話は災害時に繋がりにくいデメリットがあります。電話が繋がらない状態を「輻輳(ふくそう)」といい、過去の災害時にも見られた状況です。そのため、緊急連絡に電話のみを利用するのは難しいでしょう。
メール
メールはいつどこにいても利用しやすく、多くの人が連絡を取れるツールです。
しかし、緊急時にはメールの着信に気付かない可能性が高いのも事実です。メールを打つことが苦手な人もいます。
また大規模災害が起きた場合はサーバーにアクセスが集中し、遅延してしまう恐れがあります。非常時に滞りなく安否の連絡を行うことは難しいと判断できるでしょう。
SNS
Twitter・LINE・FacebookなどのSNSを活用し、安否の連絡を行うこともあります。SNSはインターネット経由であるため、災害時であっても繋がりやすいという特徴があるのです。
しかし、SNSのアカウントはプライベートで利用しているケースも多く、企業に伝えたくないと考えている社員も多いのが実状です。また、アカウントの取得を面倒に思って利用していない人もいるでしょう。そのため、SNSのみでは、全員の連絡先を把握できない可能性があります。
googleスプレッドシート
googleにあるサービスの中でも、googleスプレッドシートであれば、社員自らアクセスして安否情報を記載でき、集計も容易に行えます。インターネット経由でアクセスできるため、災害時であっても繋がりやすいといえます。
しかし、使い慣れていないとgoogleスプレッドシートへの記載を難しく感じる社員もいるため注意が必要です。
安否確認システム
「安否確認システム」とは、安否確認のために作られたツールです。繋がりやすく、多くの従業員が一斉にアクセスしても連絡の遅延が無いように設計されている場合がほとんどです。また緊急時にも直感的な操作ができるよう工夫されていて、多くの人が利用しやすい点もメリットです。
安否確認システムの機能
安否確認システムには、身近なツールにはない便利な機能があります。繋がりやすさや使いやすさだけでなく、多くの面で安否確認担当者や社員の負担を減らせるでしょう。どのような機能があるか見ていきます。
複数の連絡先を登録できる
社員1人あたり10件までの連絡先を登録できるなど、混乱しがちな社員情報であっても一括で管理可能です。登録できる連絡先は、携帯電話番号・固定電話番号・メールアドレス・スマートフォンアプリ・FAXなどです。またLINEなどのSNSと連携している安否確認システムもあります。
簡単に集計
自動で社員からの回答を集計できる機能があります。集計する手間が省け、素早く状況を確認できるでしょう。また、権限があれば担当者以外の人間が集計結果を閲覧できるため、情報を共有しやすいです。
気象庁と連動
気象庁の発表と連動できるため、大雨特別警報や大雪特別警報といった気象特別警報・噴火警報・地震情報にあわせ、自動的に連絡を行うことも可能です。
エリア登録機能を活かし、社員のいる地域に発令された警報と連携がする活用方法もあります。
安否確認システムの選び方
ここからは、どのサービスを選ぶと良いのか、選び方のポイントについて解説します。自社に合った安否確認システムを導入し、企業・社員が使いやすいものを選びましょう。
誰でも使いやすいシステムであるか
安否確認システムを使う場合は、普段インターネットを使わない人であっても活用できるものかどうかという点が重要です。パソコンやスマートフォンからだけでなく、ガラケーや固定電話であっても使用できれば、誰でも使いやすいといえます。外国人従業員がいる場合は、多言語対応しているかも確認しましょう。
個人情報は保護されているか
従業員のプライバシーを守るために、個人情報の保護ができる安否確認システムがおすすめです。アップロードした社員の個人情報が外部に漏れないよう、セキュリティレベルの高いサーバーへ格納してくれるシステムを選びましょう。
双方向によるやりとりが可能か
連絡の取れない社員に対し、安否を繰り返し確認できるよう双方向によるやりとりができるかもポイントです。回答があるまで自動で催促できれば、回答率も高まります。
普段から利用できるか
災害時や緊急時だけでなく、普段から活用できると使い慣れることもできます。
活用事例として、健康管理として利用する・アンケート機能で従業員の声を救い上げられるなどの方法があります。感染症拡大時に検温を記録したり体調に関するアンケートに答えたりするといった方法にも活用できるため、いざという時も慌てずに利用できるでしょう。
安否確認の意味を知って災害時の事業をスムーズに行おう
安否確認の意味は、相手の無事を確認するということです。企業にとっては今後の事業継続のために社員とその家族の無事を知り、出社は可能であるかを把握する手段の1つとなるでしょう。
安否確認の方法として身近なツールを使用するケースと、安否確認システムを導入する方法があります。身近なツールの場合は繋がりにくい・使いにくいといった特徴があるものの、安否確認システムであれば使いやすい便利な機能が多いといえます。
災害時や緊急時にスムーズに安否確認ができるよう、本記事の選び方を参考に導入していくと良いでしょう。