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BCP対策の最新動向と初動対応の迅速化へーサプライチェーン全体を見据えた対策とはー

「自社のBCP対策、現状のままで本当に大丈夫かな…」
「最新のBCP対策って何?」
 「災害や事故時の初動対応はどうしたらいいの?」

組織の複雑化やグローバルリスクの増大により、BCP対策はより重要性を増しています。 特に1,000人以上の従業員を超える大企業では、サプライチェーン全体をカバーするBCP対策の構築と、災害・事故発生時の初動対応の効率化が課題ではないでしょうか。

本記事では、最新のBCP対策のトレンドや事例、実践的なアプローチについて解説します。
初動対応の効率化についてや、デジタルツールを活用した部門間連携の強化方法についても紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。

BCP対策とは?目的と重要性について解説

まずはじめに、「BCP対策の定義と目的」そして「大企業におけるBCP対策の重要性」について解説します。

BCP対策の定義と目的

BCP対策とは、企業が自然災害、火災、テロ攻撃など、予期せぬ事態(緊急事態)が発生した場合に、事業への影響を最小限に抑え、事業の継続または早期復旧を可能にするための計画を策定し、実行することです。

事業継続計画(BCP)の概念。突発的に被害が発生するリスクの場合

出典:内閣府防災情報 事業継続ガイドライン-あらゆる危機的事象を乗り越えるための戦略と対応- 

そして、BCP対策の目的は、以下の3点に集約されます。

  • 事業の中断を最小限に抑え、早期復旧を実現する 
  • リスク管理体制の強化
  • 企業の健全性維持

このようにBCP対策は、企業が直面する様々なリスクに対して、事前の準備により、事業の継続性を確保し、企業価値を高めるための重要な取り組みです。

大企業におけるBCP対策の重要性

大企業は、多岐にわたる事業展開と複雑なサプライチェーンを有しており、その影響力は広範囲に及んでいます。

そのため、予期せぬ事態が発生した場合、企業活動全体に深刻な影響が波及するリスクが極めて高いと言えるでしょう。

特に、グローバルなサプライチェーンの崩壊や、主要なシステム障害は、企業の収益性だけでなく、ブランドイメージの毀損にもつながる可能性があります。

このようなリスクを最小限に抑え、事業継続性を確保するためには、綿密なBCP策定と実行が不可欠です。

BCP対策なら、BCPortal。コミュニケーション、情報共有、危機広報を支援し、初動から復旧までを円滑に行えるようサポートします。30日間の無料トライアルを実施中です。

BCP対策の最新トレンドについて

前述した通り、企業が対策しなければならないリスクは多様化・複雑化しています。
このような状況下において、事業の継続性を確保するための対策として、BCPの重要性はさらに高まっていくでしょう。
本章では、最新の動向を踏まえ、BCP対策のトレンドについて解説します。

1.オールハザード型BCPへの進化

BCPには、地震や火災など、特定のリスクに焦点を当てた対策があります。
しかし、現代社会では、自然災害だけでなく、サイバー攻撃、パンデミック、さらには地政学的リスクなど、多種多様な脅威に晒されています。
こうした状況に対応するため、企業は、あらゆる種類の災害やリスクを網羅する「オールハザード型BCP」へとシフトしつつあります。
このアプローチにより、複合災害にも対応できる体制を構築でき、より強靭な事業基盤が築けるでしょう。

2.デジタル技術の戦略的活用

データ収集や分析、情報共有を効率化するデジタルツールが普及しています。
たとえば:

  • クラウドサービスによるデータやシステムのリモートバックアップ
  • AIを活用したリスク予測と自動対応策の立案
  • ビッグデータ分析によるリスクパターンの抽出と将来予測

これらの技術により、リスク評価の自動化、コミュニケーションの迅速化、バーチャル災害復旧演習の実施など、BCPの効果的な実践が可能になっています。

3.グローバルBCM体制の高度化

グローバル化が進む現代において、企業は国境を越えて事業を展開しています。各国の法規制、文化、言語、時間帯の違いなど、様々な要因を考慮したBCP設計が求められます。

具体的には:

  • クラウドベースのコミュニケーションツール活用
  • グローバル横断的な緊急時情報共有システム
  • 国際的な法規制への対応

これにより、企業は、リスクを最小化し、事業の継続性を高め、安定的な成長を実現できるでしょう。

大企業におけるBCP対策の課題

大企業がBCP対策を実施する上で直面する課題は、組織の規模と複雑さゆえに多岐にわたります。
ここではより具体的に掘り下げてみましょう。

1.複雑な組織構造と多様なステークホルダー

各部門がそれぞれ異なる役割を担い、独自の目標を持っているため、組織全体として一貫したBCPを策定し、実行に移すことは容易ではありません。

また、従業員だけでなく、取引先、顧客、株主など、様々なステークホルダーのニーズを考慮する必要があり、彼らの期待に応えながら、迅速かつ柔軟な対応が求められます。

2.迅速な決断と情報共有の困難さ

緊急事態が発生した場合、迅速な意思決定と情報共有が不可欠です。

しかし、大企業では、多層的な組織構造や、部門間の情報共有不足などが原因で、意思決定の遅延や、情報が関係者に適切に伝わらないことが起こります。

特に、グローバルに展開している企業の場合、時差や言語の壁も、迅速な対応を阻む要因となるでしょう。

3.部門間の連携不足

BCPは、組織全体の協力なしには成功しません。そのため、部門間の連携不足は、BCPの実行を妨げる大きな要因となります。

効果的なBCP対策の実践ポイント

大企業におけるBCP対策では、上記の課題に考慮したアプローチが求められます。
特に、緊急時に迅速かつ効果的に対応するためには、リスク評価、代替の確保、初動対応体制の構築が重要なポイントとなるでしょう。
ここでは、それぞれの具体策について解説します。

1.リスク評価をする

BCPを策定する上で、リスク評価は欠かせないプロセスです。

リスク評価では、企業が直面する可能性のあるあらゆるリスクを洗い出し、その発生頻度と、もし発生した場合にどれほどの影響を受けるのかを評価します。

リスク評価の具体的な手順

  1. リスクの洗い出し
  2. リスクの評価
  3. リスクの優先順位付け
  4. 対策の策定

たとえば、地震の頻発地域に拠点を置く企業の場合、建物の耐震補強や、重要なデータのバックアップ体制の強化といった対策を講じると良いでしょう。

2.代替調達先の確保と在庫管理

災害や突発的な事象は、企業のサプライチェーンに深刻な影響をもたらす可能性があります。こうしたリスクに備え、代替調達先の確保と適切な在庫管理が不可欠です。

複数の供給元を確保すると、特定の供給者が被災した場合でも、迅速に代替調達を行い、生産や販売の停滞を防げるでしょう。これは、サプライチェーンのレジリエンスを高め、BCPの実効性を向上させる上で極めて重要な施策です。

一方、在庫管理は、過剰な在庫は保管費用などのコスト増につながるだけでなく、製品の陳腐化リスクも高まります。
しかし、在庫不足は、顧客への納期遅延や生産ラインの停止といった深刻な事態を引き起こす可能性があります。そのため、最適な在庫レベルを維持し、需要変動や供給リスクに対応できる在庫戦略の策定が求められるでしょう。

3.初動対応体制を構築する

緊急時における初動対応の速さが、その後の被害規模や復旧速度を大きく左右します。初動対応体制の構築においては、以下の要素が重要です。

  • 情報収集:災害や障害の発生状況を迅速に把握する仕組みを整える。デジタルツールやIoTを活用して随時情報を収集する。
  • 意思決定プロセス:明確な指揮系統を設定し、迅速に対応策を決定するプロセスを構築する。初動時には即断が求められるため、担当者の役割分担を事前に決めておく。
  • 部門間連携:各部門間の暫定的なコミュニケーションを確保し、情報共有を迅速化する。これには、部門横断的な訓練やツールを導入する。

効果的なBCP対策の実践例

大規模企業において、BCP対策は、単一の事態だけでなく、複合的なリスクを想定したシナリオに基づいて実施されることが求められます。

ここでは、BCP対策の具体的な事例を通じて、各企業の取り組みを深掘りしていきましょう。

事例1:鳥取県 県による市町村の業務継続体制確保支援 

鳥取県では、地域全体での防災力の強化を目指し、市町村のBCP策定を積極的に支援しました。県内19市町村、広域連携組織、県職員が参画する市町村BCPワーキンググループを設置し、地区部会を設けて密な連携体制を構築しています。

具体的な取り組み

  • 戦略的な研修の実施: BCP策定に必要な知識やスキル向上のための研修を体系的に実施し、職員の意識改革を促した
  • 100%策定達成: 研修の成果もあり、県内全市町村でBCP策定を完了させ、業務継続体制の基盤を確立した
  • 実効性確保: 定期的な見直しと改善を行い、BCPが常に有効なものとなるよう、継続的な取り組みを実施している

鳥取県の事例は、地域全体で協力し、BCP策定の推進により、災害に強い地域づくりを実現した好例といえるでしょう。

参考:地方公共団体の業務継続計画(BCP)事例集(p.8)

事例2:宇治市業務継続計画(BCP)における非常用発電機対策

大規模災害時、市民生活を支える行政機能の継続は不可欠です。

宇治市は、主要施設「うじ安心館」に最大78時間稼働可能な自家発電設備を設置するなど、非常用発電機対策を強化しています。しかし、他の施設では稼働時間が短いという課題もありました。

そこで、燃料の備蓄や浸水対策、電力供給の優先順位設定など、多角的な対策を講じ、災害時の電力供給を安定化しようと取り組んでいます。

具体的な取り組み:

  • 多角的な対策: 燃料、浸水対策、電力配分など、様々な角度から対策を実施
  • 柔軟性: 社会情勢の変化に合わせて、計画を定期的に見直し、常に最適な状態を維持
  • 市民生活への貢献: 災害時でも行政サービスが継続すると市民の不安が軽減する

宇治市では、これらの対策を効果的に運用するため、BCP訓練を定期的に実施しています。訓練では、想定される災害シナリオに基づき、発電機の起動手順、燃料の補給、電力配分などの実務を繰り返し行うことで、職員の対応能力を高めています。

参考:地方公共団体の業務継続計画(BCP)事例集(p.44)

緊急事態に強い企業へーDXが変える初動対応ー

突発的な災害や事故といった緊急事態は、いつ、どこで発生するか予測できません。
このような事態に、迅速かつ適切に対応するには、初動対応の迅速化が不可欠です。
しかし、多くの企業では、状況把握や被害の全容把握に時間がかかり、その間に被害が拡大してしまうという課題を抱えています。

初動対応の遅れが企業にもたらす損害は甚大です。
たとえば、生産ラインの停止による売上損失、顧客からの信頼失墜、ブランドイメージの低下などが挙げられます。

この課題を解決するためには、デジタル技術の導入が有効です。
インフォコム株式会社BCPortalをはじめとするデジタルツールの活用により、多くのメリットが期待できるでしょう。

BCPortalによる課題解決方法とは

BCPortalは、大規模災害発生時における企業の初動対応を根本から変革する、画期的なプラットフォームです。

大企業では、災害発生時に必要な情報が散在し、部門間の連携がスムーズに行えないといった課題がありました。BCPortalは、これらの課題を解決するため、あらゆる情報を一元化し、リアルタイムで共有できる環境を提供します。

さらに、BCPortalは大企業の多様なニーズに対応できる柔軟なシステム設計を採用しており、特にサプライチェーン全体の連携強化において大きな効果を発揮します。

BCPortalのレポーティング機能がもたらす初動対応の革新

初動対応をさらに支援する機能として、BCPortalには「レポーティング機能」が搭載されています。

  1. 自動化された状況報告と分析
    災害発生時、各現場からの状況報告を自動で集約し、瞬時に分析ができます。情報収集にかかる時間が大幅に短縮され、正確なデータに基づいた行動が可能になります。
  2. 業務効率向上と意思決定スピードの加速
    システムによる自動化により業務負担が軽減され、さらに人的ミスや情報伝達の遅延を引き起こすリスクを減らすことができます。

このようにBCPortalレポーティング機能は、初動対応の課題を根本から解決する効果的なツールです。

自動化された状況報告、業務効率の向上、そして意思決定スピードの加速は、企業の事業継続力強化に不可欠な要素といえるでしょう。

BCP対策の継続的な改善に向けて

BCP(事業継続計画)は、一度作成すれば終わりというものではありません。
企業を取り巻く環境は常に変化しており、新たなリスクも生まれてくるでしょう。
そのため、BCPは、継続的な見直しと改善を繰り返すことで、その実効性を保つことが重要です。

定期的な訓練と見直しで実効性を高める

BCPを「生きたもの」にするためには、以下の取り組みが不可欠です。

  • 実地訓練の重要性: 机上での計画だけでは不十分です。定期的な実地訓練を通じて、従業員一人ひとりが、緊急時にどのような行動をとるべきかを身をもって体験するのが大切です。訓練を通して、計画の不足部分や改善点を見つけ出し、より現実的な対応策を検討できるでしょう。
  • BCPの定期的な見直し: 企業の事業内容や規模、取引先、法規制などは、時間とともに変化します。BCPもまた、これらの変化に合わせて定期的に見直す必要があります。特に、新たなリスクが浮上した場合には、計画に反映させましょう。

訓練と見直しを繰り返すことで、計画はより実効性を高め、リスクへの備えを強化できます。

専門家によるサポート体制の必要性

BCP対策を、より確実なものにするために、専門家のサポートは欠かせません。

インフォコム株式会社危機管理コンサルティング・訓練支援は、企業ごとに異なるリスクを精査し、最適なBCP策定を支援します。

具体的には、

  • 現状の診断と改善点の提示: 現在のBCPがどれほど効果を発揮しているのか、客観的に評価し、改善すべき点を明確にします。
  • 実践的な訓練の実施: 専門家の指導のもと、現場で実用的な訓練を実施し、従業員のスキル向上を図ります。
  • 継続的なサポート:定期的なモニタリングや計画の更新支援、BCPが常に最新の状態で維持されるようサポートします。

インフォコム株式会社のような、専門家による支援により、企業は万が一の事態に備え、事業の継続性を高められるでしょう。

まとめ

大企業におけるBCP対策は、企業の存続と成長を支える重要な基盤です。

サプライチェーン全体をカバーし、初動対応を迅速化するためには、デジタルツールや専門的なサポートの活用が重要
インフォコム社BCPortalは、その課題解決に役立つ強力なソリューションです。BCP対策を強化したいとお考えの方は、ぜひご検討ください。

詳細については、インフォコム株式会社のウェブサイト(https://www.infocom-sb.jp/)をご参照ください。

インフォコム社のサービスを活用し、BCP対策を継続的に改善すると、リスクに強い企業体制を実現できます。
災害や緊急事態に対する備えを万全にし、信頼性の高い事業運営を続けていきましょう。

阪神淡路大震災をきっかけに開発した緊急連絡/安否確認システム「エマージェンシーコール」の販売を通じ、お客様の危機管理に関する様々な課題をヒアリング。その豊富な知識とノウハウをコンサルティングやコラムに展開。

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