目次
大雨や地震などの自然災害の発生に伴い、さまざまな二次災害の発生リスクがあります。そのため、二次災害についてしっかりと理解していない場合、巻き込まれるリスクが高まるケースも少なくありません。
しかし、最初に起こる一次災害は知っていても、二次災害に関しては不明瞭な方もいるでしょう。 今回は、日本で災害が発生しやすい理由、大雨・集中豪雨、火山噴火で起きる二次災害、企業に帰宅困難者対策が求められる理由をみていきます。
講演実績多数!危機管理コンサルティング・訓練支援はこちら
日本で災害が発生しやすい理由
ここでは、日本での主な災害発生理由を解説します。日本は特に自然災害の多い国であるものの、その詳しい理由を知っていきましょう。
地震・火山
地球の表面は「プレート」と呼ばれる10枚以上の岩盤に覆われて成り立っています。日本列島の位置は、プレートのうち4枚が衝突する場所に存在することから、世界でも多いといえます。そのため、日本では地震や火山活動が活発です。
台風・豪雨
日本は台風の通り道に存在し、南東の海上は熱帯低気圧が発生しやすい気候です。この熱帯低気圧が台風へと変貌し、その後の動きでは上空の気流や南高北低となる夏季の気圧配置などの影響を多大に受けるため、日本へと上陸しやすくなるメカニズムです。
発生した台風は強力な暴風をもたらし、前線の活動を活発化させます。そのため、突風や豪雨による被害が勃発します。
水害・土砂災害
日本列島の国土は山地が7割を占めており、河川の長さも短いため流れが速く、氾濫による水害が発生しやすい地形です。また、複雑かつ不安定な地形や地質と、温帯多雨と呼ばれる気象条件により、土砂災害も非常に発生しやすい環境となっています。
大雨・集中豪雨により発生する二次災害
大雨や集中豪雨による二次災害では、急激に被害が拡大します。ここでは、雨害によって起こりうる二次災害を詳しくみていきましょう。
がけ崩れ
がけ崩れは、急な斜面が大量の土砂とともに突然崩れ落ちる現象です。雨水や雪どけ水などの浸水、地震の激しい揺れなどによって発生します。急激に崩れ落ちるため、がけの下にいた場合は避難が非常に困難です。そのため、がけ崩れが発生すると死傷者の発生リスクが高くなります。
がけ崩れの起こりやすい場所として、5メートル以上の高さを有するがけ、傾きが30度を超える急ながけなどが挙げられます。また、上部が下部よりもせり出した形状のがけは、地震や強風などの揺れのみで崩れる可能性があるため、特に注意が必要です。
土石流
土石流は、長雨や集中豪雨などにより、山腹や川底の石、土砂などが下流へと急激に流される現象です。時速20~40kmという自動車に匹敵する速度で、一瞬にして人家や畑などを壊滅させるような大災害となる場合もあります。
土石流による災害は、急な谷川や扇状地で頻発する傾向にあります。発災後は死傷者の出る事例が多いため、谷川や扇状地が付近にある場合は、よりいっそうの警戒が必要です。
地すべり
地すべりは急な斜面のみならず、比較的緩やかな斜面でも発生する災害です。大雨や河川の氾濫などにより地下水が増水し、地盤が緩んで液状化した粘土層が地層ごと滑り落ちます。家屋や田畑、樹木、道路なども巻き込むほど、被害が広範囲に及ぶ点が特徴です。
また、地すべりによって土砂が川をダムのようにせき止めた場合、周囲の土地の浸水、土石流の発生などが起こる恐れがあります。
火山噴火による二次災害
オフィスや就業先が活火山付近にある場合、火山噴火による二次災害に注意が必要です。噴火から二次災害発生までの時間は非常に早いため、迅速な判断や行動が求められます。
火山泥流や土石流
噴火によって火山泥流や土石流の流出が発生した場合、集落一体が埋まる、火災を引き起こすなど広いエリアで甚大な被害を与えます。灰色や黒色の煙が前兆としてみられるものの、目視してから非常に速いスピードで発生するため、自己判断が重要です。
健康被害
火山灰や火災の煙を吸い込んだ場合、呼吸器や循環器系に異常が発生し、咳や鼻喉の不快感が起こる可能性があります。喘息や気管支炎などの肺・心臓に関する持病、過去の肺炎などで呼吸器が弱くなっている場合は、症状の再発や悪化のリスクが高いため注意しましょう。
また、微細な粒子が眼球に付着すれば、角膜剥離や急性結膜炎などを引き起こす恐れがあります。直ちに水で目を洗い流したり、コンタクトレンズを使用している場合は外したりするなどの応急処置が必要です。
火山ガスや津波
火山ガスとは、火山活動によって地表に噴出する高温のガスです。水、二酸化硫黄、硫化水素、二酸化炭素などを主成分とするため、吸引してしまうと気管支などの障害や硫化水素による中毒などを引き起こす可能性があります。
また、大規模な噴火が発生した際には、山の斜面の一部が崩壊し海に流れこみ、津波が発生する場合もあるため、関連して起きる災害の種類を知っておくことが大切です。
企業には帰宅困難者対策が求められる
大規模災害が発生した場合に備え、企業では従業員のために帰宅困難者対策の策定が必要です。ここでは、企業が講じるべき帰宅困難者対策をみていきましょう。
大規模災害時には二次被害のリスクが増す
大規模災害の発生直後において、混雑した場所では家屋の倒壊や群衆雪崩など、さまざまな二次被害に巻き込まれるリスクが高まります。発災時には従業員の安全確保のため、むやみな行動を避け、その場に待機させながら安全確認を行いましょう。
従業員の一斉帰宅は控えるべき
帰宅困難者のパニック防止、二次災害リスク軽減などのためにも、従業員への一斉帰宅指示は非推奨です。従業員が安心して待機できるよう、平時における飲食料などの防災グッズ備蓄が求められます。
帰宅困難者に備えることが大切
災害はいつ訪れるか分からないため、防災マニュアルと並行し、帰宅困難者対策も優先して策定しましょう。道路が混雑すれば従業員の安全だけでなく、救急車のような緊急通行車両にも影響を及ぼします。
従業員数が多くオフィスでの待機が難しい場合は、帰宅指示だけでなく、一時滞在施設を利用させるのも選択肢の一つです。平時のうちに徒歩での帰宅ルート確認、実際の訓練などを実施しておけば、非常時にも冷静な行動や指示出しが可能となります。
まとめ
日本は地形や気候などの影響により、地震や火山噴火、台風、河川の氾濫などの自然災害が頻発しやすい国です。それらの天災によって引き起こされる二次災害についても、過去に甚大な被害を及ぼした事例が多く存在します。
比較的高い頻度で発生する大雨一つだけをみても、がけ崩れ、土石流、地すべりと3種類もの二次災害が存在します。事業主や代表者だけでなく、従業員に対してもそれぞれの一次・二次災害によって起こりうるリスクを周知させることが重要です。
大規模災害の発生直後は、家屋の倒壊や群衆雪崩など、さまざまな二次被害のリスクが高まります。帰宅困難者のパニック防止、二次災害リスク軽減などのためにも、従業員への一斉帰宅指示は非推奨です。
非常時に道路が混雑すれば従業員の安全だけではなく、救急車のような緊急通行車両の運行も脅かされます。混乱を避けるには一斉に帰宅させるのではなく、少人数ずつ帰宅指示を出したり、一時滞在施設を利用させたりといった配慮を行いましょう。