「安否確認ナビ」は危機管理に関する様々な情報をお届けします。

byinfocom

企業に必要な災害対策は?防災視点と事業継続の観点からの対策を解説

日本では地震を始めとして、台風や豪雨などの自然災害により企業が被害を受けるケースも少なくありません。被害を最小限に食い止めるためにも、災害対策は欠かせないといえるでしょう。

しかし、どのような対策を取れば良いのか分からないというケースもあるかと思います。今回は、企業が災害対策に取り組むべき理由についてふれたうえで、防災の視点や事業継続の観点から災害対策についてみていきます。

災害はいつ起きるか分からないため、対策や準備は早めに行いましょう。

企業が災害対策に取り組むべき理由

氾濫する川

企業が常日頃から災害対策に取り組むべき理由をみていきましょう。実際に災害が起きた際の被害を最小限に食い止めるには、事前の対策が大切です。

日本では自然災害で被災するリスクがある

日本では近年、豪雨などによる水害や地震による被害が多発しています。国土交通白書2021では、豪雨災害が増加・頻発化していることが報告されました。さらに、大規模地震の発生リスクも高まっています。

企業には「労働者の安全への配慮」が義務付けられている

労働契約法により、企業には「労働者が安全かつ健康に働けるよう配慮する」ことが義務付けられています。

特に大切なのは次の2点です。

 ・予見可能性:事前に危険な事態や被害の可能性を予見できたか
 ・結果回避性:予見できた可能性を回避できたか

この安全配慮義務は災害発生時においても例外とはなりません。そのため、災害に対しても企業は事前に予見可能性を考慮したうえで回避するための対策を取る義務があるといえます。

企業が対策を怠っていたことで労働者に被害を与えた場合は、損害賠償請求が発生するリスクが生じる点に注意が必要です。

災害による事業へのリスク対策

自然災害による被害は、自社の事業継続が困難になるケースだけではありません。取引先企業が被害を受けることも考えられます。

事業継続が困難にならないためにも、取引先も含めて災害対策を考えておくことも大切です。場合によっては取引先の対策状況も把握し、システムの整備などを共に対策する必要もあります。

防災視点からの災害対策

非常食

ここからは、防災視点からの災害対策をみていきましょう。

防災マニュアルの作成や想定される被害への事前対策

災害発生時は冷静な判断が困難になります。そのため、事前に防災マニュアルを作成しておかなければなりません。

作成する防災マニュアルには、自社に必要な情報を網羅しておきましょう。ただし、コストや時間の観点から最初から規模の大きい完璧なものを作るのではなく、対象範囲を明確にして必要最小限のものから準備しましょう。

主に必要となる事項は次の通りです。

 ・災害時の役割分担、従業員の行動指針
 ・情報収集の手段と収集すべき内容
 ・緊急連絡網、安否確認方法
 ・緊急避難場所
 ・社内設備・貴重品・危険物などの取扱方法、備蓄品リスト

支社や支店がある場合はそれぞれの対応方法、顧客・取引先への対応方法など、会社の規模や業務形態に合わせたマニュアルを作成します。

災害時の役割分担は、バイネームで誰がやるかではなく、災害時にはどんな役割があるかを明確にしておく事が大事です。誰がやるかを明確化する事により、組織変更などで、かえってマニュアルを陳腐化させ、改定を難しくさせることがあります。

 

防災マニュアルを作成しても、社員が知らなければいざというときに使用できません。常日頃から、内容を周知して従業員に認識させることが大切です。加えて、マニュアルは一度作ったら終わりではなく、訓練を繰り返しながら定期的に見直していきましょう。

また、マニュアル作成の過程において、什器転倒の危険性など、事前に被害を想定できる事象に気がつく場合があります。その場合、転倒防止を行うといった事前の対策も行うことが大切です。

防災訓練の実施

消防法によって、避難訓練を行うことが義務付けられています。東日本大震災時にも、普段から実際に体を動かして訓練していたことで、身を助けることにつながった実例が報告されました。

火災だけでなく、地震や台風、豪雨や津波など災害にはさまざまなものがあるため、あらゆる災害を想定しつつ防災訓練を繰り返し行うことが重要です。

実際に訓練を行うことで、マニュアルの不備の発見にもつながります。また、従業員の防災意識を高めることにもつながるでしょう。防災訓練のマンネリ化を防ぐためにも、防災訓練の目標・発生・被害状況などの見直しを定期的に行うことが大切です。

防災備蓄品の準備を行う

災害時に備え、防災備蓄品を準備しておきましょう。東京都帰宅困難者対策ハンドブックによると、3日以上の水や食料を備蓄することが推奨されています。一人あたりの備蓄量の目安は次のようになっています。

 ・水 1日3リットル 計9リットル
 ・主食 1日3食、計9食
 ・毛布 1枚

その他、次のものも必要に応じて揃えておくと良いでしょう。

 ・簡易トイレ
 ・衛生用品
 ・敷物
 ・携帯ラジオ
 ・懐中電灯
 ・乾電池
 ・救急医療薬品類

社内に取引先の方やお客様が訪れているときに災害が起きることも考えられます。従業員全員分の数量に加え、ある程度余裕のある人数分の量を準備しておくことも大切です。水や食品には賞味期限があるため、3か月に1回など定期的な見直しや、自動的にアラートを出す仕組みがあればより効果的です。

事業継続の観点からみた災害対策

事業継続計画(BCP)

ここからは、事業継続の観点から考える災害対策について紹介します。

BCP策定

BCPとは、事業継続計画のことで、次のような内容を定めるものです。

 1.優先して継続・復旧すべき中核事業を特定する
 2.緊急時における中核事業の目標復旧時間を決める
 3.緊急時に提供できるサービス内容やレベルを予め協議しておく
 4.緊急時の事業拠点・生産設備・仕入れ品調達先の代替案を準備する
 5.全従業員と、緊急時の事業継続についてコミュニケーションを図っておく

BCPを策定することで、自然災害や大災害、テロといった緊急事態に企業が遭遇した場合に資産の被害を最小限に食い止めることが可能となります。短期間のうちに事業再開・事業継続を行えるといったメリットも想定できるでしょう。

安否確認システムの活用

緊急時に従業員の安否状況を把握するために役立つものとして安否確認システムがあります。システムを活用することで効率的な確認が可能です。

内容や価格はサービスにより異なるため、安否システム導入の目的を明確にしたうえで、企業規模や予算に合わせたサービスを選択しましょう。

安否確認システムには、緊急連絡の機能もあります。災害時の安否確認だけでなく、プッシュでの連絡を取る事により、さらに効果的に利用できます。例えば、会社の近隣が被災により危険な場合、無理して会社に出社させない為にも、事務所や拠点の情報を社員に連絡する事により、危険を回避できる場合があります。また、新型感染症などの場合の連絡網などにも活用できます。どのような連絡手段が使えるか、導入前に確認しておく事が重要です。

バックアップシステム

事業継続のためにも、重要なデータは保護しておくことが必要不可欠です。東日本大震災では、メディアで記録を行って社内で保管しておいたバックアップデータが津波で被災したという事例がありました。

災害を始めとしたもしもの事態に備え、バックアップシステムを構築しておきましょう。バックアップデータを複数作成し、少なくとも一つは遠隔地に保管することでデータ消失のリスク分散が可能となります。バックアップレベルで、かかる費用が大きく違ってきます。データの重要性を細かく調べて、リアルタイムなデータから、オフラインのデータまで、ランクを決めて対応する事が重要です。

企業にとって災害対策は必要

防災対策

地震を始めとした自然災害はいつでも起こる可能性があります。自然災害の発生頻度が高まっている昨今においては、企業として普段から災害発生に備えておくことが重要です。

災害対策ができていれば、有事の際の被害を最小限に食い止めることが可能となります。ただし、防災マニュアルの作成や非常食の準備などをみても分かる通り、「一度行ってしまえば終わり」といった類のものではありません。

時間をおいて何度も見直し、全従業員に周知徹底を図ることで初めて災害時にその効果を発揮します。

労働者の安全配慮や災害後も事業を継続するという観点からも、企業は災害対策に努める必要があるといえるでしょう。

まとめ

企業に必要な災害対策は、防災マニュアル・BCPの作成、避難訓練の実施、防災備蓄品の準備・バックアップシステムの完備など多岐にわたります。定期的な見直しや訓練の実施によって改善を繰り返していくことが大切です。

自然災害はいつ発生するか分かりません。従業員の安全確保と企業の事業継続を円滑に行うためにも、できるところから災害対策を実施しましょう。

阪神淡路大震災をきっかけに開発した緊急連絡/安否確認システム「エマージェンシーコール」の販売を通じ、お客様の危機管理に関する様々な課題をヒアリング。その豊富な知識とノウハウをコンサルティングやコラムに展開。

関連記事

ページトップへ