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自然災害発生時、企業は社内外に対して安否確認を行います。一般的にはメールや電話、アプリなど複数の手段があります。社内だけでなく、取引先の企業などの状況を見極め、納品やサービスに支障があるか確認するためです
しかし、安否確認を発信するといってもどのような方法を取ればよいのか分からない方もいるでしょう。
そこで今回は、企業が安否確認を行う目的や注意点にふれたうえで、安否確認システムを活用する理由を見ていきます。
企業における安否確認とは
災害などの緊急時に人員の安全の確認を目的に一斉送信しますが、災害時には通信障害や通信の混み合いで輻輳する可能性もあるため、複数の拠点からの発信や複数のメディアを使って送信できるシステムを用い、連絡相手の状態を確認します。
内容は、主に自身の安全確認や居場所、出社の可否などを回答するものや回答専用のリンクなどです。内容に応じて直接返信、またはリンク先の質問事項に回答します。
企業が社内外に安否確認を行う目的
事業の継続には人手が必要です。そのため、安否確認は、社外に対して送信する場合もあります。社外に送信する目的は次のようになります。
・災害時における企業の状況について外部に告知する
・取引先に事業をどこまで継続できる状況かを告知する
自社が事業を継続できても、取引先が再開できる状況にない場合もあるでしょう。災害時には企業間や周辺地域で協力し、支援することも素早い復旧のために必要です。そのため、災害時には社内だけでなく、取引先などサプライチェーンに送信することも重要といえます。
安否確認の発信方法
ここからは、安否確認をメールで発信する3つの方法について見ていきます。
メールを直接送信
1つめの方法は直接送信する方法です。管理者や防災担当者がメール本文を作成し、従業員に向けて送信し返信を待ちます。システムを導入しなくても実施できるため、導入コストがかからないことがメリットです。
しかし、緊急を要する災害時においては、送信や集計に時間がかかってしまうことがデメリットといえます。したがって、直接送信とする場合は本文の作成に加えて、宛先も入力した状態の下書きを作成しておくとよいでしょう。
集計では、計算式の入ったチェックリストファイルをスマートフォンに入れておき、メールを確認しつつ入力すれば時間の削減が可能です。
メーリングリストタイプ
メーリングリストは、メールを送信する複数のアドレスをあらかじめ登録し、一斉送信を可能にする仕組みです。従業員数が多ければ多いほど、災害時に直接送信することは時間がかかります。加えて安否確認も遅れ、企業活動の継続判断が遅くなってしまうことが想定されます。
事前の準備が必要ですが、メーリングリストは一斉送信できるため、迅速に安否メールが送信できるのがメリットです。
また、メーリングシステムのデメリットとして、従業員がドメイン指定受信などの設定をしているとメールが届かない可能性が高くなります。そのため、システム導入時には従業員に配信テストを行い、受信できたかどうかを確認することが大切です。
安否確認システム
安否確認システムは、安否確認に関わる複数の機能がまとまったシステムです。代表的な機能には以下のものがあります。
・安否確認の一斉送信
・回答の自動集計
・営業所ごとなどのグループ設定
・会社からの一斉連絡事項の通達
・返信がない人への自動再配信
・従業員からその家族への安否確認
一斉送信に加えて回答の自動集計があるため、災害時に事業継続の判断がしやすくなります。また、安否確認が取れない従業員を把握できることに加えて、自動で安否メールを再配信してくれる機能もあります。
さらに、模擬訓練機能も特徴の1つです。訓練と併用し、従業員に実際に届く内容を見てもらい、返信対応してもらうことも可能です。注意点として、システムを利用していても、ドメイン指定などをしているとメールは受信できません。模擬訓練機能を活用して全従業員が受信できるようにしておきましょう。
また、メールの輻輳やシステム障害まで考慮する場合は、スマートフォンアプリ、電話通知機能、FAXなども合わせて活用するのが有効的です。
安否確認を発信する際の注意点
災害時に、安否確認システムを用いて安否確認を行うのは効果的な手段です。しかし、安否確認を行う場合は、次のようなポイントに注意しましょう。
内容やタイミング
メールを送信する際は、他の要件と一緒に送ってしまうと相手方の負担になります。そのため、内容は安否確認のみに絞ることが大切です。
相手を気遣う
社外へ安否確認を行う場合には、相手が被災していることを念頭に置いたうえで、発生した災害に合わせて、長文にならない程度に相手への労りの言葉を含めるようにしましょう。また、会社の総意として送付していることを示すためには、「弊社一同」という文言を含めることも有効です。
返信を焦らずに待つ
災害発生時、早いタイミングで安否確認を行った場合、相手を気遣う気持ちが伝わります。また、災害後30分以上経過すると、個人・法人に関わらず連絡を取る人が増加するため、サーバーに負担がかかります。届かない可能性が高くなるため、災害発生の情報を得た時点で送ることを心掛けましょう。
加えて、送付する場合は早めに送る必要があるものの、返信を促すような文言の使用は避けましょう。被災した相手の状況によっては、内容を確認できない・返信できない状況に置かれている場合があります。
企業の安否確認の課題
企業が安否確認を行う際の課題について見ていきましょう。
安否確認に時間がかかってしまう
災害時に連絡フローが徹底されていない場合、安否確認に時間がかかります。大規模な震災が発生した場合は、電話・インターネット回線にアクセスが集中したため、通信ができない状況になることがありました。
日本では地震や台風などの自然災害が起きるリスクがあることに加えて、規模もさまざまであるため、どの程度の災害で連絡が必要なのか基準を設けるのは困難です。
そのため、メールやビジネスチャットツールなど普段から社内で利用しているインフラを利用して安否確認を行おうとしても、緊急時には上手く機能しない可能性があります。
安否状況の集計が遅れてしまう
災害発生時の被害状況を正確に把握しつつ、従業員への指示を素早く行うためには、管理部門などが状況を把握する必要があるといえます。しかし、メールでは個別に報告が届くため、集計に手間取り、さまざまな判断の遅れにつながる点に注意が必要です。
安否確認には安否確認システムを活用
メールでの安否確認の伝達手段として、メールやチャットなどの方法があるものの、集計に時間がかかるといった課題があります。しかし、安否確認システムを活用すれば、災害検知時に自動でメールの一斉送信が可能となり、回答を自動集計できるため、素早い状況判断が可能です。
まとめ
企業が安否確認メールを社内に送信する目的は、従業員の状況確認、企業活動が継続可能かどうかを判断するためです。社外に対しては、事業が継続できるかどうか知らせることなどを目的に送信します。
確認メールを送信するための方法は、直接送信やメーリングリストといった方法があります。しかし、直接送信などの方法では、状況確認に時間がかかるなどの課題を解決できません。そのため、効率的に情報を集めたい場合には、安否確認システムの活用を検討しましょう。